10.若いお母さんの会
若いお母さんたちは、自分が生まれて来た神秘の世界を再度体験できる恵まれた環境が与えられています。そのため、その恵まれた環境を最大限に活かして自分に与えられた使命の偉大さをみんなで一緒に考えようというのが「若いお母さんの会」であります。
若いお母さんたちは、人間の原点から細胞が一つ一つ分裂しながら「天の上にも、天の下にもこれ以上素晴らしいものはないと釈尊が言った自分の肉体」を母親の子宮という神聖な場所で、へその緒と胎盤という素晴らしい臓器に守られ、あの世からこの世に誕生して来たのであります。そうした神聖な体験を今度は自分が母親となって、母親の立場で自分が受けた恩を子供(先祖)にお返しするのが出産という儀式であります。
人間に与えられるいろいろの試練に無駄なものは一つもありません。すべてが重要な意味をもつ神佛の愛であり慈悲であります。つわりも、陣痛も、産道をくぐり抜ける苦労も、素晴らしい子供を産むための重要な儀式であります。子供は母親の狭い産道をくぐり抜ける間に忍耐力を養い、勇気を養い、人生に必要なすべての力を身につけて誕生してくるのであります。
出産を目前にしている若いお母さんたちは、出産という宇宙的な大ドラマが意味する大真理を、過去に自分が体験した誕生の教訓から自分の努力で大いに学び、無知によって引き起こす誤りを少しでも少なくして一期一会の人生を自分の智慧と努力で完成させて下さい。
人間誕生のすべてを知っているへその緒と胎盤には、生まれて来る子供の生涯を守る神秘な貴重なエネルギーが充満しています。一般の哺乳動物は「母親が胎盤を食べて胎盤の中に含まれている神秘なエネルギーを母親の母乳の中に移して子供に与えなければならない」という一大事を本能的に知っている。しかし、人類の多くは、この一大事の胎盤をゴミのように捨ててかえりみない反自然的な恐るべき無知な生き方をしている人も少なくない。
若いお母さんの会では、そうした理不尽な反自然的な生き方をしている人に少しでも生き方を改善してもらって、自分の子供(先祖)に恥じない母性愛を自分のためにも子供のためにも、また自分と子供を生かしてくれている神佛のためにも発揮していただき、忍耐力のある、思いやりのある、たくましい子供を出産する環境をみんなで考えてもらいたい。平等院大慈寺は、若いお母さんの会が素晴らしい画期的な新しい生き方を発見するまで応援を続けます。
札幌市中央区大通西二十一丁目に中国寺院の分院として誕生した平等院大慈寺という二十一世紀の寺があります。寺の中には観音堂があり、石で作った古い観音の胸像が安置されています。その母子観音は、若いお母さんの会の守り観音像とし多くの人に慕われ、愛撫され、多くの人の心を癒しています。
そもそも観音像というものは、文字のない時代の人に大宇宙の目に見えない生命の実相をどのようにして伝えるかを工夫してつくられた聖像経典であります。
ある人は、人間の能力には無限なものがあるということを人々に伝えるために千手観音という像を作り、千の手にいろいろの道具をもたせ人間の使命と能力が無限であることを表現しています。また、ある人は十一面観音を作り一方だけを見ないで左も右も前も後ろも四方八方に気を配りながら生きる宇宙的な宗教意識の重要性を表現しています。そのほか、如意輪観音、馬頭観音などいろいろの観音像を作って大宇宙の目に見えない世音を聞き分ける観音力を高める工夫をしています。
平等院大慈寺も、そうした先祖の知恵に見習って中国からの観音像を経典として安置しています。この観音像は、信仰の対象ではなく大宇宙の世音を受信するアンテナであります。受信機は、あなた自身の天上天下唯我獨尊のすぐれた肉体であり心であり、何万年も生き続けて来た不生不滅のあなたの魂であります。あなたの大宇宙と直結しているすぐれた目も、耳も、鼻も、体も、心も、目に見えない世音を観じ、世音に順応した生き方を発見する羅針盤であります。
若いお母さんたちは、平等院大慈寺の母子観音像の前に立って自分の心の扉を開いておしゃべりをしてみて下さい。必ず回答が得られます。回答が得られないときは、何回でも観音像の前に立っておしゃべりをしながら自分の心の大掃除をして下さい。心の汚れが落ち心が謙虚になったとき、あなたの観音力が向上して千手観音、十一面観音のような素晴らしい観音力が現われ、母と子の運命を大きく変えてゆきます。自分の運命は自分の心が作り出した自分の心の花であります。自分の心を改めれば即座に運命は好転するが、改めない限りいくら神佛に祈っても、信仰しても、永遠に改まることのない不幸の道が続くのであります。
若いお母さんたちは、自分の恵まれた立場、恵まれた体験を活かして、多くの人が忘れ去った人間誕生のドラマをしっかり思い出しながら、神秘な無限のエネルギーを含むへその緒と胎盤を、生まれて来る子供のためにどのように継承するのが母も子もそして母と子を生かしている神佛も喜ぶ道なのかをとくと思案してみて下さい。あなたのお子さんの人智を超越した神秘な胎盤のエネルギーは、母親の目覚めと真実の母性愛文化の向上を首を長くして待ち望んでいるのではないでしょうか。(つづく)
二〇〇六年一月二十六日 岡雷翁
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