3.茶話会

平等院大慈寺では毎月第一日曜日の十時から十三時「自分を知る」というテーマで茶話会を開催しています。茶話会には、お茶、お菓子、果物などを用意しています。参加費は無料。定員は先着三十名。予約も承っています。
参加者の中には、自分はどこから生まれてどこに往くのか、人生の目的も使命も知らない心の光が消えている人もいます。このような人でも、茶話会に参加して早い人は数回で心の目からウロコが落ち始め自分の実相が少しずつ見え始める人もいます。
人間は、白楽天と道林禅師の故事にある如く「三歳の童子がこれを知るとも、白髪の老人これを行ない難し」である。謙虚の二文字は、一期一会の貴重な人生を幸福に導く最大のエネルギーであります。
私の牧場にいる牛馬は、お産をするとき必ず母親が生まれたばかりの子牛の体を舌できれいになめ尽くし、マッサージと愛撫が終わると子供が今までお世話になった胎盤が役目を終えて母親の体内から排出されます。そうするとその胎盤を母親が何時間もかけて食べ尽くし、その養分を母乳に代えて子牛に与えます。それを見ていた女性従業員が感動して、大きなバケツに味噌汁をなみなみと作って飲ませた。母親は生まれて始めて飲む味噌汁ではあるが一気に飲み干すと、大きな体を左右にゆり動かして彼女に礼を言う。そうした神々しい姿を見ていると、牛と人間と神様が一体となって新しい生命を育てている慈悲共生の光がまぶしく感じました。
それに比べると人間の母性愛は、貧弱で小さく自分の子供が世話になった生命の恩人である胎盤に対しては感謝の心も報恩の心もなく、産業廃棄物として捨てて省みない人間の生き方には神佛の心を無視した大きな誤りがあるように思います。
茶話会で皆様と話し合っているときに自灯明、法灯明の光が差し込むと、自分の誤りに気づき目からウロコが落ちることがある。そして目からウロコが落ちると心は明るさを増し、今まで見えなかった心の風景が鮮明に観えるようになります。
人生には、不幸も不運も貧困も心の闇も存在しません。全ては、自分の心の無智無明が人間の不幸を呼び寄せているのであります。茶話会は、太陽を中心とした大自然の摂理を経典にして釈尊の示した自灯明、法灯明を各自の心の中に灯すことを最大の目的としています。
自分の心に光明を得たい人、元気を取り戻したい人、幸福になりたい人、健康になりたい人など茶話会という縁に触れることで自分の運命が大きく変わることもあります。釈尊が示した「天上天下唯我独尊、三界皆苦我当安之」という真言は茶話会の中心であり自分を知るための要石であります。とくと思案頼みます。



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